塞がりかけた怪我をちら見してから、スターナはまた刃物を構える。

アレンは本気で一撃で倒すつもりで、スターナの喉元に剣先を向けた。


「あぁ~喉元はやばい」

刃物で防ぐのを諦めたスターナは間一髪のところでアレンの突きをかわす。


そして、その耳元に何かを囁いた。


「今頃三人はどうなってるかな」


──一瞬、動揺した。

その動揺がアレンの動きを少し鈍らせた。


「…ッ!!」


右肩から背中にかけて痛みが走る。


サッと姿勢を低くして身を翻し、剣で刃物を弾き飛ばしてそれ以上は何とか防いだ。



「やっぱりな」

離れて自分を睨む碧の瞳の少年に向かい、ニヤリと笑う。

「お前、何より仲間が大切なんだろ。馬鹿馬鹿しい」

怪我から血を流したアレンは、その言葉に黙り込む。

「そういうのが弱さを引き出す。魔王様はそれを知っているからこそ人間を配下に置かないんだ」

得意そうに言うスターナに、アレンは睨みだけを返した。


「…三人のところに誰かいるのか」

「魔王様の配下の中で、最も残忍で強い奴」

アレンの質問にさらに顔をにやつかせたスターナはそう言った。

「最も…お前より?」

「そうだ。」


少し考えたアレンはまた剣を構えた。


「大丈夫だろうけど一応見に行こうかな」

「その前に俺を倒さなきゃな」


二人は同時に走り出した。