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翌日、アレンは一人で外に出ていた。
レイとイルとギルクの三人は買い物中だ。
(ギルク、荷物凄いだろうな)
そんなことを考えて、少し笑う。
そうしているうちに、目的地についた。
「…よかった、壊されてない」
アレンは自分の胸くらいの高さの墓に手を置いた。
墓には『ナティア=ブロドニス』と名前が彫られている。
「母さん、久しぶり」
墓を洗い、しゃがんで目を瞑ると手を合わせた。
…俺さ、旅に出たろ。
そしたらさ、仲間に逢った。
面白くて、強くて、頼りになる奴ら。
「…俺、あいつらに逢って、変わった?」
目を開けたアレンは、墓石に笑いかけた。
もちろん、返事はない。
「…これ、母さん護るために置いとくから。」
黒い鞄から出したそれは、エニスから受け取った虹色の石の欠片だった。
そっと、置く。
「…じゃあな、母さん」
そう言ってアレンは立ち上がった。
『……………アレン』