「…何でもない」


ふいっと視線を逸らしたアレンは、また布団に顔を埋めた。

レイは黙ってアレンを見る。



「…ギルクとイルは?」

不意にそう聞いたアレンはまた顔を上げる。



「下でご飯作ってるわ。」

「え」

アレンは心底嫌そうな顔をした。


──ギルクの料理ってどんなんだ…。


「あの二人が作るのははじめてよね。」



レイは笑っているが、アレンは絶対食べないと腹に決めたのであった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

二人が二階から降りると、何やらギルクが頭を抱え込んで嘆いていた。


「…お前、料理失敗したんじゃねぇだろうな」


アレンは軽く睨む。

お腹が減ってるけど不味いものを食べさせられるのは嫌だ。



「…間違いだったんだあぁ…あれは塩じゃなくて小麦粉だああぁ…だから駄目って言ったのにいぃ……」


ギルクは一人恐ろしい呟きをぶちまけていた。


「ギルク、塩と小麦粉間違えるなんて恐ろしく料理が下手なのね」

レイはため息をついた。

ギルクとイルの二人に任せたのが間違いだった…。


「違う、俺じゃねぇ!!料理が恐ろしく下手なのはイルだ!!!!」

キッと睨んだギルクはそこでやっとアレンに気が付いた。




「アレン!我が親友よ!!目が覚めたかあぁ!!!!」

飛び付いたのをサッとかわされ、ギルクは床に顔を思いっきり打ち付けた。


「いってえぇぇえ!!酷いなお前ぇ!!!!」

「暑苦しいよお前」

アレンは笑いながらそう言うとすぐに顔をしかめた。



嫌な臭いがする………。