目を開いた時に映ったのは、白い壁のリビング。
どうやら一軒家の中らしい。
「…ギルク、イルをこっちに運んで」
そう言ったアレンは一人で先を歩き、リビングを出て二階に上がる。
「え?ああ」
ここはどこなんだろうと首をかしげていたギルクは慌ててイルをお姫様抱っこした。
「ギルク、あなた大丈夫?足怪我してるのにイルを運んで」
「平気平気ぃ」
心配性なレイに笑って答えたギルクは一気に階段を駆け上った。
二階に着くと、そこには3つ部屋があった。
一番奥の部屋の扉を開いて、アレンが手招きする。
「寝室?」
入ったその部屋にはベッドが2つ、置いてあった。
「うん。イル、寝かせて」
ギルクはベッドの片方にイルを下ろした。
「アレン、ここはどこなの?」
イルを見ながらレイは聞いた。
「俺の家」
一言そう答えたアレンはイルの横たわるベッドの横に膝をつき、動く右手を彼女の腹部の傷に翳した。
アレンの右手が金色に輝く。
しばらくして金色の光が水色になった。
「癒しの水色…」
水色は、癒しの力の象徴。
イルの傷は塞がっていき、やがて大怪我をしていたのを疑うくらい綺麗さっぱりなくなった。
「よかった…」
すぅすぅと気持ち良さげに眠るイルを見たギルクは安心してそう呟いた。
「ギルク、足」
アレンに言われて振り返ると、怪我した足に手を翳していた。
傷がなくなっていくのがわかる。