リディンは座りなおすと、どこか緊張した表情で口を開く。
「いいかい、この世界が神ファンリュジョンによって治められていることは知っておるな?」
「はい」
「あったりまえ~ッ」
女子二人は素直に反応した。
ギルクはただ首をかしげ、アレンは不機嫌そうな顔になる。
「ふぁんりゅじょん?」
「そうよ、神ファンリュジョン様。この世界ファンリュジョンの頂点に立つ女神!
綺麗で、強くて、心優しいこの世の王様よ!」
訳の分からない様子のギルクに、イルが説明をした。
「アレンは知っとるのかい?」
「…知ってるけど信じてはないです」
ボソッと呟くように答えるアレン。
それを聞いたリディンは憤慨した。
「なんと!ファンリュジョン様の存在を否定するのかい!」
その彼女の様子にアレンはチラッとそちらを見やる。
その瞳はどこか、……影っていた。
「…本当に神がいるのなら、人が意味もなく殺されたりすると思いますか」
「意味もなく死ぬ者などいない!ファンリュジョン様は存在しておる!」
アレンは顔をしかめる。
頭痛が戻ってきたからだ。
リディンは興奮して丘の力を抑えるのを忘れていた。