いつのまにか目の前のテーブルに、温まったココアが四つ。
「お飲み。」
「ありがとうございます」
四人はありがたくそれを貰った。
「さて、アレン…。頭痛がしはじめたのはいつじゃ?」
リディンがココアをゆっくりと飲むアレンに訊く。
アレンは少し考える素振りを見せると口を開いた。
「…丘に入ったときから」
「えっ、そうだったのかぁ?」
ギルクは驚いて口の周りにココアをつけたままアレンの方を見る。
「…ん…。」
そんなギルクに適当に返事をしたアレン。
「アレンは何でも我慢するくせがあるみたいじゃの。」
リディンは真剣な目でアレンを見つめる。
「………………。」
アレンはその紫の瞳がどこを見ているのかを悟り、黙り込んだ。
「お主ら、ちと席を外してはくれぬかの」
急にリディンがそう言った。
「え?」
当然、三人は驚く。
「レイちゃん、客室に行っといておくれ。」
「…? はい…。」
レイは立ち上がり、ギルクとイルに目配せした。
「ホントに行くのぉ?」
イルは少し心配そうにアレンを振り返る。
そんなイルの手をレイはひいて歩き出した。
「アレンなら大丈夫。リディンさんは信用できる人よ。」