私がじっとみていたせいか、
彼はプイッと前に顔を向きなおした。



「あの人、誰?」とさやにきいてみた。



「あ、そっか。みえ遅刻して
朝のホームルームいなかったね」



「……ごめんって……。」



「あの人は転校生だよ。名前は
森口かなた。親の都合で引っ越して
きたらしい。」



「へぇ………」



「イケメンよねー。ほら、
噂をかぎつけた他のクラスのメス豚どもが
餌を求めるかのような汚い目で
みにきてるわよ。」



「言い過ぎたよ、さや………」



確かに、他のクラスの女子がじわじわ
集まってきた。



でもあんなふうに見られるのは
いやだと思うなー。動物じゃないんだし。