ユキもユウもいない、ただ1人で。


ココは小さな冊子が文字通り、指し示す方向へと進んでいた。


冊子の表紙に矢印が映され、進むべき方向に向きを変えていく。


どんな方向音痴も、これを持って迷子にはなり得ないだろう代物だった。


かなり上へ来た。


そうココが思った時、おもむろに矢印が消えた。


かと思えば。


「ーーー跡継ぎさんのお出まし?」


そっと雲の狭間から、美しい女性が顔を出した。