heure de la'nge〜天使の時間〜

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「おめでとう、皆さん」


神聖な場所らしい、その場所からの退去を命じられ、大天使候補生だった者と、大天使になった者は建物の外へ出た。


すると、大天使候補生だった者は、一斉にココ達の下へ集まり、祝福の言葉を投げかけた。


泣きそうな顔だったり。

既に泣いている顔だったり。

やり切った顔だったり。



全員が全員違う表情で、ココ達に祝福の言葉を浴びせた。



その都度、ココ達はお礼を言ったり、相手の涙を拭いたのだ。



その後は、どこかで見ていたらしい、見知らぬ天使達が、ココ達の顔を一目見ようと、詰めかけて来た。


ココ達はまた、それの対応に追われたのだった。







その日の夜は、明日も天界で予定があるからと、天界に泊まるよう、人間界の役所の人のような天使に言われ、部屋に通された。


人間界でのココ達は、何とか都合の良いようになっているらしい。


「ココ、おめでとうっ!!!やったわねっ!!」


部屋に行くと、嬉々としたユキが出迎えてくれた。


「…ありがと」

ユキは、ココにとって今までのどんな賛辞よりも嬉しいものをくれた。



優しくけれど、強く、ココのことを抱きしめてくれたのだ。







「ーーーユウは?」


ユキに褒められて、抱きしめられて、気が済んだのか、ココは辺りを見回してこう問うた。



「あ…っと、ユウは今日はちょっと仕事。明日には会えるわ」


「ふーん…」


少し残念そうなココに、ユキは優しく言った。


「もう寝ましょうか。明日は早いわよ」


ココは素直に頷き、慣れないフカフカベットへと潜り込んだのだった。




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「とうとうだなっ!」


「何がだよ」


無駄にテンションの高い天使と、冷静な天使。


その2人が、光の中に浮いているかのような不思議な空間で、話していた。


「お前のーーー弟?だか兄?だろ?」

今度の大天使の1人。と天使が陽気に笑う。


「何で男の選択肢しか無いんだ。
妹だっつってるだろ、何回も」


呆れたように笑った男の天使は、ただひたすらに目の前のプリントを減らして行く。


そして、最後に一言。


「俺はもう行くからな。後の仕事はお前の管轄」


そうして最後まで冷静に消える。


いつものことだ。


ただ、男が消えた後、陽気な天使が一言呟いた以外は。



「あいつ…何がそんなに気が重いんだ…」



と。





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「ココっ!!用意出来たか?行くぞ!」


おはようの一言もなしに、突然現れたユウは、突然叫んだ。


「ーーーわっ、とユウ。おはよ〜」

ココはのんびりと笑う。


「何のんびりしてるんだ。今日の課題、まだ聞いてないのか?」


言われてみれば、ユウもユキもいやにピリピリしている。


どんな課題なんだろう…と不安になりかけた時、もうココの出かける準備はユキが全て整えていた。


「行くわよ、ココ。
課題の話は向こうでみんなで聞くから」


急いで。とユキがさっさと飛んでいく。







「おはよっ!!ココっ」


目的地らしいところへユウとユキの後を追って降りたてば、朝からハイテンションなきぃが飛びついて来る。


「おはよ〜、きぃ。
あっ、おはよ〜真」


「……ん、おはよ」


「他の2人は?」


「まだーーー今来た」


真が指を指した方向からは、眠そうなアイカと、いつも通り笑う琉。



早々に、新たな大天使の5人が集結した。







「ーーー今から、大天使としての課題を課す」


数分ののちに現れた、何やら格式の高そうな服に変わったユウは、こう言った。


「えっ、ユウ!?なんて格好してんの?」

ココは驚いて声を上げる。

上げてから、周りの4人がさして驚いていないことに気付いた。


「ーーー今は簡易とはいえ、式の途中だ。静粛にして頂こうか。『縁』の大天使」


ココが黙ったのを確認して、いつもと違うユウは再度、口を開く。





「貴方がたの解くべき課題は、天界の動きを間近で見てもらう、というものです。
5人それぞれのパターンがありますから、これを見ながら課題をこなして行きなさい」


ユウから5人がそれぞれ手渡されたのは、真っ白な小さな冊子。


「その冊子が行くべきところを指し示してくれるでしょう。
では、行きなさい」


その最後の言葉と共に、ユウがすっと手を上げるのが見えた次の瞬間には、ユウが消えていた。






「あれはどういうことなの!?」


ユウが消えて、やっと状況を把握したらしいココが再度叫び声を上げる。

静かに、真が答えた。


「ユウさんはーーどうやら、天界でかなり上の地位にいる人みたいなんだ。
ココは知らないだろうが、大天使のグループ分けの時にも、前で喋っていたのはユウさんだった」


グループ分け……ココがなつきさんを見つけて、追いかけ、やっと捕まえて渡すものを渡せた時のこと。


確かにユウはあの場に居なかったと思う。


「知っているのかと思ったけれど…やっぱり知らなかったのね」


アイカはため息と共にそう言った。

ココは黙って小さく頷く。



「とりあえずさ!今日の課題をさっさとこなそうよ?
あとちょっとで終わりでしょっ!!
頑張ろっ!」


きぃは暗い空気を打破するように、大きな声を出した。


それは少なからず効果を上げ、5人は「また後で」という言葉と共にそれぞれ翔び立つ。


ココも、それに習った。



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