「記憶を失くしたんですね」 ココは黙ったままもはや何もしようとしないなつきさんを前に、静かに言う。 「…」 「ーー、ハァ、ハッーーココ、どうしたの?」 やっとのことで追い付いたユキは、困った顔のココと、少し悲しげにも取れる表情のなつきさんの前に姿を現すこととなる。 「……なつきさんが、記憶を失くしているらしいの」 そして、数瞬の後のココが発した言葉は、ユキの予想してた中で、最も来て欲しく無いものであった。