「なつきさん……ですよね?」


ココはなつきさんに、必死で追い付き、ビルの上に立った時、やっとのことでこう言う。


ココは、体育の先生に400mは無酸素運動だ。と言われた時に勘違いして、ほとんど息継ぎ無しで走りきった時ぐらい息が上がっていた。



「えーーーっと、たぶん…」


「……たぶん?」


なつきさんの予想外の返答に、ココは考える間も無く聞き返してしまう。



素直すぎるほどにあっさり頷いたなつきさんを見て、ココはまた、迷宮が見えた気がした。