いつもと違う海斗の妙な優しさは、なんだか変な感じがした。


「そういえば陸さんは?」


意識が途切れる前、確かに陸さんが助けに来てくれた。朦朧とした中でも、陸さんの手の温もりやあの鼓動は今もこの手に残っていた。


「兄貴は少し前に様子見に来たけど、また呼び出されて仕事に戻ったよ。
俺、お前の母ちゃんに知らせてくるから。」


「お母さん来てるの?」


「ずっと病院にいるよ。今呼んでくるから。」


「うん。」


海斗はそう言うと、部屋を出ていった。


そういえば、どうして海斗はここにいたんだろう…。
サッカーのユニフォーム姿のままだったけど、部活の途中で抜けてきたのかな?


そんなことを考えていたらお母さんが病室に入ってきた。