少しして、相田さんが呼んだのかパトカーのサイレンと、救急車のサイレンが聞こえてきた。
すぐに私たちを取り囲むように数人の警官がやってきて、大人しくなってしまった勇吾さんを連れていった。

相田さんは衰弱していた周くんと病院に一緒に行く事になり、私と誠二さんは警察署へ事情聴取の為に呼ばれた。
車で病院に向かった相田さんが、後で事情聴取に合流しつつ迎えに来てくれることになった。

 周くんは怪我はたいしたことなく、衰弱が酷いけれど数日入院すれば問題ないとのことだった。
連絡したとき、沙由は泣きながら喜んでいた。

勇吾さんは、事が事なので暫くは出てこられないのかもしれない。
私はそこに関してはもう関わりたくなかったので、深くは聞かなかった。


 全てが終わって、私が家に帰れたのは翌朝だった。
両親にはとても怒られたけれど、やっと一ヶ月前の事件との折り合いがつけられた気がした。
私の胸につかえていた靄も、ようやく晴れたような。

そんな事を保坂くんに電話で話すと、無茶をするんじゃないと怒られた。
こればかりは私が悪いので、大人しく謝ることにしたのだけれど。

 これでやっと前に進める。

私は安堵の溜息を零すと、膝でじゃれついてくるルリの頭を撫でながら大きく伸びをするのだった。