「謝りたい?」

「うん。まぁ、プロを夢見て頑張ってる子もなかにはいたからね。それで、ああいうことを仕出かした手前、勝手には教えられないから、直接連絡先を知ってる子達には確認をとって、大丈夫ってヤツだけ勇吾に教えたんだよ」

「勇吾さんは、連絡先知らなかったんですか?」

「親に消されたって言ってたね。多分、もう薫ちゃん関連の連絡先は全部消されてたんだと思うよ」

「それで、周くんの連絡先も教えたんですか?」

「ああ、周は構わないって言ってたから。でも、その後すぐに行方不明なの?」

誠二さんも、事の重大さに顔を青くしつつ顎に手を当てて何か考えているようだった。

 カラン……とドアベルが鳴って、カフェの扉が開いた。
立っていたのは、焦燥しきった様子の沙由だった。

いつもはバッチリしているメイクも今日は薄く、泣いていたのか目がはれていた。

「沙由」

「先輩……」

私の姿を見つけた沙由は、堪えきれないように私の腕に飛び込んできた。
途端に、しゃくりあげる。小刻みに震える細い肩は、頼りなげに揺れていて。
私も胸が痛んだ。

「今ね、誠二さんにも聞いてたんだけど……」

今しがた聞いた事を沙由にゆっくりと話してやる。
沙由はくぐもったうめき声をあげながら、ゆっくりと頷いていた。

 誠二さんがコーヒーを淹れてくれて、それを飲んだ沙由も少しは落ち着いたようだった。
真っ赤になった鼻をすすりながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

「……誠二さんが言ってるの、多分間違ってないです。確かに、三週間前周ちゃん人に会うって言ってデートの約束すっぽかしたから……」

「誰と会うのかは聞いていないんだ」

「いつも聞かないっていうか、そういう時大抵サークルで急に集まることになったとか、そういうのだから……」

沙由が泣きそうな顔で俯く。

「そうか……」