ラクガキ機能もふんだんに使って出来上がったプリクラは、実物の私たちとは少し違ったけど素敵だった。

「はんぶんこ」

「後で保坂くんにもあげよ」

「あ、私も彼氏にあげよっと。嫌がりそう」

二人で笑い合って、大切にプリクラをしまう。
もう少しで、こうやって気楽に雪菜と遊ぶ事もなくなってしまう。

 「そういえばさ、引越しの準備って進んでる?」

街を目的もなく歩きながら、雪菜が問う。
私は首を横に振りながら、小さな溜息を零した。

「全然。まぁ私はもっていくものもあんまりないからいいんだけど、その前にあちらのご両親に挨拶にも行かないとだし」

「そっかー、何せ急だもんね、お互い」

「そういう雪菜はどうなのよ」

「私も全然だよ。家具はお互いの家の使えるもの持ち寄る事になったんだけど、私の服とか鞄がさ。全部は持っていけないし、かといって少ないと困りそうでー」

気楽に送れる距離じゃないからか、雪菜も中々苦戦しているようだった。
私は自分の身の回りの荷物を少しと、ルリのものを少しだけ。
あとの家電やなんかは、保坂くんの地元でゆっくり揃えるつもりだった。

「あ、そうだ。来週だっけ?」

「え?うん」

来週。
今まで避けていた保坂くんの勤めるホテルに、私は泊まりにいく。
今回はご両親への挨拶もするから、ついでの滞在。
それでも、あのキラキラした保坂くんを見る楽しみと、緊張と、不安。
やっぱり、私じゃつりあわないんじゃないかななんていう、そんな気持ちと。

「おみやげよろしくね」

「うん、わかったよ」

一人で行く不安もあったけど、両親は都合がつかなくて私一人で行く事になった。
久しぶりの一人きりでの外出。

不安も大きいけれど、楽しもうと決めた。