車に乗り込んで美穂がチラッと妹尾に向いて挨拶した。

俺は手を握ると


「美穂、今日は楽しかったみたいで良かった。

鍋は二人で食べたのか?」


なんて、探りを入れるように話を聞いてみる。

すると


「違うよ、岳斗君と真由の友達の剛君。」

案の定あの二人が一緒にいたんだ。

そう思うと

「そっか。良かったな。 楽しくって」

こんな言葉しか出なくて、あとは目を瞑って口を開かなかった。


ヤキモチな気持ちを抑えるためにただ目を閉じていただけのことを、美穂は俺がつかれたと思ったのか俺の隣で寝息をあげだした。


俺は目を開けると美穂の頭を膝にのせ寝顔を見ながら髪を撫でている。


「やっぱりアイツラ一緒だったんだな。

まあ、若いもん同士楽しんだって事で、真由ちゃんもしっかりしてるから先にアイツラ帰らせたんだろ?

気にするな。

お前の愛しい美穂ちゃんは今そこにいるんだからな。」


妹尾がバックミラー越しに俺に話しかける。

「明日はスケジュールすべてキャンセルしとけ。」



妹尾が顔を顰めて俺を見ると


「マジで言ってる?」

「ああ、調整できないことないだろ?」

「へいへい、わかりました。

社長の予定はキャンセルですね。」


そう言って俺は明日の予定をキャンセルした。

美穂と一緒に過ごすために。