「うわぁー。ママ、かわいい!」
佑くんより先に翔太が、足に抱きついてくた。
「おいおい、翔太ダメだよ」
追いかけてきて捕まえたのは佑くんだ。
なんか、……大丈夫かな。
既に翔太に振り回されているように見えるのですけど。
「翔、今日はパパとお留守番の約束したろ。……麻由、似合うよ。昔それ着て、デートしたよなぁ」
あ、覚えてた。
嬉しくて胸がキュンとする。
なんだろう。外見を変えただけで、気分も独身時代に戻ったみたい。
「ゆっくり楽しんでこいよ」
その後、そっと渡されたのは一万円札。
え? なに?
お小遣いですか?
「夕飯までには帰っておいで」
「……ありがとう。行ってきます」
凄くこそばゆいような気持ちになって、佑くんと既に泣きそうな顔に変わっている翔太に手を振ってアパートを出た。