私、横溝麻由は二十八歳。
五歳年下の旦那様・佑汰くんと、三歳のかわいい息子・翔太の三人暮らし。
私の仕事は中小企業の経理事務で、佑くんこと佑汰くんはコックさん。
土日は休みの私に対して、佑くんが日曜日に休めることなんてたまにしかない。
二週間ぶりの一緒のお休みだから、佑くんに少し翔太を任せて家中を綺麗にしようって狙っていたのになぁ。
「まあでも、いっか」
一人で休日を楽しむなんて、もう何年振りだろう。
たまにはオシャレでもしてみましょうかと、クローゼットの中から独身時代のワンピースを取り出した。
多少産後太りはしたものの、着れない程じゃない。
仕事用とは違う、少し華やかなメイクをする。
ピンクベースのアイシャドウを使うのは久しぶりだ。
ドキドキと嬉しい心地がするのは、普段は日々の生活に追われて所帯じみてしまったからかしら。
鏡の中の私は、それなりに可愛い。
「うん。独身時代みたい」
こんな風におしゃれをしてみれば、案外いけるんじゃないの。
そう自分では思うけど、果たして彼は何と言うだろう。
佑くんの反応をドキドキしながら伺うのも、なんだか凄く久しぶりな気がする。