「なんだか、……お母さんもプレゼントもらったみたいね」

「え?」

「あんたとこんな話をできる日が来るなんて思わなかった」

私達はお互いに、潤んだ瞳を隠しながら笑いあった。

「いい人と一緒になったね、麻由」

「うん」

それはとても幸せな会話だった。
そんなつもりは無かったけど、良い母の日のお祝いになったんじゃないかなんて自分で思う。

「今日は私のおごりね。母の日だから」

「はいはい、ごちそうさま。……ねぇ、麻由」

「なに?」

母が、親の眼差しで私を見る。

「佑汰くんのご両親にも、いつかちゃんとお礼言いなさいね」

「……え?」

「結婚するときに言われたことを、あんたはまだ気にしているのかも知れないけど、そろそろわかるでしょ。親はいくつになっても自分の子供がかわいいのよ。いつまでもこだわるより、佑汰くんをあんなに優しい人に育ててくれた事を感謝しなさい」

諭すように笑う母親の顔に、もう何もかも分かったようなつもりでも、気づいていないことが多くあることを知った。

「……うん、そうだね」

なんだか、今日一日で色んな事を思い出した。
どれも、佑くんと翔太との大事な思い出ばかり。


「お母さん。私、やっぱり家に帰る」

そのまま母と別れた。なんだかとても二人に会いたくなって。