「ママ、すき」

「あー、なんで、ママにばっかり!」

「翔太、パパも好きだよねぇ」

「うん。でもママがいちばんすき!」

翔太は一つこうだと思ったらなかなか変えない。
佑くんはしばらくムキになっていたけど、最後には笑いだした。

「仕方無いか。翔、パパもママが好きだよ」

「だめ! ママはぼくが好きなの」

「もう、二人とも大好きよう」

「だめ! ぼくがいちばんなんだから」

意地っ張りの翔太は、泣きそうになりながら怒る。

「はいはい」

仕方なくごまかして笑った。
じきに翔太が別のことでおしゃべりを始めると、私も佑くんも嬉しくて聞き入った。

やがて、翔太がお昼寝をすると、佑くんが背中から抱きついてきた。

「麻由の一番好きは誰?」

「二人とも、同じくらい好きだってば」

「今だけ俺にしなよ。翔には内緒にしとくから」

「何それ」

「俺は麻由が一番好き」

「……今だけ?」

「ずっと。……でも、本当は翔も同じくらい好きだけど」

「なによ! じゃあ、一緒じゃない」

「まあね」


笑いあってキスをした。それはまるで恋人同士だった時みたいで。
近くで翔太がお昼寝してるのになんて思いながら、ドキドキは加速した。

贅沢をしなくたって、健康で三人で仲良く暮らせたらそれが幸せなんだって思った。
だってこんなに満たされてる。
心が、太陽でも抱えてるみたいに温かくて。