「でね、そこで、白馬に乗った王子様がね、かおりんに
“結婚しよう”
ってバラの花束持って言ったの!」
 
「はいはい。またその夢見たの?つーか今時、白馬に乗った男なんて。しかもバラの花束なんて。アタシは逆に引くわ!」
 
「なんで?嬉しいじゃん!愛ちゃん夢がないよ〜!想像力が乏(トボ)しいよ〜!だから彼氏居ないんじゃん?」
 
「妄想やら変な夢の話ばっかで、リアルに男と付き合った事の無いアンタに言われたくないわっ」
 
「…なにさ。本名“健四郎”のくせに…」
 
「まぁ!アンタ今、禁句言ったわね?アタシは愛よ愛!」
 
「ふんっ!オカマの愛ちゃん」
 
「まぁっ!アンタ1度ならず2度までも禁句言ったわね?もう怒ったわよ?誰がアンタのご飯作ってあげてるのかしら?もうアンタのご飯作らない事にするわ」
 
「えぇ〜っ!?愛ちゃん…愛様!ごめんなさい〜」
 
「分かればいいのよ、分かれば。今後一切その名前で呼ばないでちょうだい」
 
「健四郎って?」
 
「言ったそばからもう呼んでるじゃない!ほんっとバカな子ね」