「お邪魔しましたー」



向かい側の家から綺麗な人が出てきた。


……奏汰と今日水族館に行ってた人。



やっぱりそっか。


あの2人付き合ってたのか。


あたしは幼なじみ。

真由さんは彼女。

それ以上それ以下でもない。





"初恋は叶わない"







昔誰かが言ってたのを思い出す。


……本当、その通り。


「……梨奈ちゃん」


「……ごめんね。あたし、奏汰のこと好き、みたい。やっぱり」


………涙が出るほど好きになってたなんて。


「俺がいる。俺があいつを忘れさせてやる」



気づけば暁くんに抱きしめられてる。




「……だから俺と付き合って」





「……でも」


「お試しでいい!1ヶ月だけ!1ヶ月で俺に惚れさす」



そう自信満々に言う暁くんが可笑しくてついつい笑ってしまった。


「……ダメかな?」


「わかった。ただし1ヶ月でもしあたしが暁くんを好きになれなかったら、その時は潔く諦めて」


「わかった。じゃ、今日から梨奈って呼ぶから、俺のことは暁な」


「……うん」


暁……か。


………呼べるかな?


なんか緊張する。



「じゃーな、梨奈」



そう言って、暁…はあたしにキスをした。


「えっ⁉︎⁉︎」


「もう俺は遠慮しねぇって決めたから。嫌だったら頑張って防いでみな?」



………なんか、キャラ違う?



あの温厚そうな感じが全くしないんですけど………。



………っていうか!


あたしのファーストキス!


返せーーーーーー!