道の向こうに自転車に乗ってくる奏汰が見えた。
………心臓がドキドキうるさい。
「………梨………奈……?」
「お…おかえり…奏汰」
恥ずかしくて、奏汰の顔が見れない。
「……なんだよ、それ」
え?
奏汰?
怒ってる?
顔をあげようとした。
けど、できなかった。
……奏汰の匂い。
……あたし。
……抱きしめられてる?
……なんで?
「……奏汰?」
「……意味わかんねぇ。なんなんだよ、その格好」
やっぱし。
「変……だよね……。海美に選んでもらったんだけど。………ごめんね?……着替えてくる」
「……かわいいじゃん」
え?
今……なんて?
「………奏汰?」
「……こっち見んな、バカ」
そう言った奏汰の顔はほんのり赤かった。
照れてる。