「…何、言ってるの?」
丹田千晶も目を丸くして慎先輩をみていた
「いや。俺も一応本当に好きな子がいるからさ、なんとなくそんな感じがしただけだよ。俺の本気とお前らの本気が違うだけかもしれない」
…これが怖かったのかと、笑いそうになった
「前からおかしいなって思うことはあった。お前は誰も愛さないって言ってたのに光と付き合うし、付き合い始めた日だって光が一方的に色々言っただけだった。でも、そのあと普通に仲良さそうにしてるから気のせいかなって思ってたんだけど…」
「…けど?」
丹田千晶の声が震えているように聞こえた
「なんかお前らって本当の愛情を知らないのかなって、そう思っただけ。好きで好きでしょうがなくて、愛してもらえなくても諦めきれなくて、だから離れない。」
慎先輩はすっと丹田千晶の髪に触れて
「…なあ、聞いたことある?恋は傷付くけど愛は傷つかないんだって。相手の幸せを願えるんだと。……俺は、自分よりも相手の幸せを願えるよ。俺を選んでくれたらいいのに…っても思うけどな」
慎先輩は丹田千晶を愛している
全ての言葉がそう変換されて耳に入ってくる
「恋するのも愛するのも諦めるのも離れるのも本人の自由だ。でも。そこに嘘や偽物があるとしたら…それってフェアじゃねえよな?自分が幸せならいいって考えなんて、な?」
そして頭に回るまでにいろいろな言葉に換えられて、俺の頭を支配していく