「…慎ちゃん暇人だもんね~」



「お前もだろ?」




いつも通りの丹田千晶と慎先輩



…を見つめるいつもと違う俺。




そこで気づいた。



あぁ、俺慎先輩が怖いんだって




「…最近、光とはどうなの?」



「んー?別に普通?あ、でも前よりは優しいかな?」



その言葉を聞くとすっと慎先輩の目の色が一瞬だけ変わった



あぁ、俺は憎まれてるんだな




「なんか千晶には冷たかったもんな」



次の瞬間にはいつも通りの優しい顔に戻っていた




笑いながら世間話をする丹田千晶



慎先輩の目が変わったのは気付けないほど一瞬だけだったんだ




…でも、どうしてだろう



俺は憎まれてることが怖い訳じゃないらしい



慎先輩の異常なまでの丹田千晶への愛情と執着心が怖い訳でもない




なぜなら俺の心臓はわりと普通だし、冷静でいられてるから





…でも、俺は本能的にどんどん近づいてくる恐怖の正体を察知しているらしく、




自分でも可笑しくなるくらい怯えてる




一体何に怯えてるんだ





「…たまに、千晶と光の関係を偽物のように感じるんだ」





心臓が跳ねたのがわかった