「…ここか」
菜々子先輩が書いてくれた地図を握りしめて上を見上げる。
目の前には高層マンション。
…あいつ、金持ちだったんだな
菜々子先輩が言うには丹田千晶はここの最上階に住んでいるらしい
俺はごくりと喉をならして覚悟を決めるとマンションの中へと足を進めた。
『TANDA』
そうかかれたドアの前で立ち尽くす
「…ふう」
今までで最高ってくらいに心臓は高鳴り、インターフォンへと向かう指は震えていた。
この原因はなんなんだろうか。
いや、ほんとは分かっている
親がいたらって不安と二人っきりという緊張、昨日の今日だしっていう羞恥心。
本当は原因を理解しているのに、そこから目をそむけ逃げ、なかったことにしている俺。
…ほんと、カッコ悪いな俺!!!!
「…あ。」
勢いのままインターフォンを押してしまった