俺がムカムカと格闘していると
「おわっ!」
ぐいっと後ろに引っ張られる。
な、なんだ?
そう思い振り返ると…
「ど、どうしたんすか。菜々子先輩」
俺のワイシャツの裾を掴む菜々子先輩がいた。
「…あの、翔ちゃんと慎ちゃんから聞いたんだけど…今日部活ないんだよね?」
ゆっくりと話す菜々子先輩。
どっかの誰かさんとは大違いだな
「今日は体育館でバレー部の練試があるんで、休みっす」
俺がそう言うと菜々子先輩はほっとしたような、でも意地悪い笑顔になって
「それなら、お見舞いにいってきなよ」
「…えっ?」
菜々子先輩はにこにこして、美沙先輩は頷いている。
「翔太と慎は千晶を妹のように溺愛してるからな。千晶と二人で過ごすなら今しかない。」
溺愛と言う言葉が耳に残る。
そしてムカムカがどんどん強くなっていった
「今なら私たちが千晶ちゃんち教えます」
「彼氏なら行くだろ?てか強制でいってこい」
俺は二人の言葉と意味が分からないムカムカに背中を押されて丹田千晶宅を訪問することにした