善は急げ。
俺は昼休みになると走って丹田千晶の教室へと向かった。
「千晶せんぱーい」
いつもなら丹田千晶以外の名前を呼ぶところだが今日からは違う。
あえて丹田千晶の名前だけを呼んでみる。
…今まで呼んでない分なかなか恥ずかしいな
そう思いながらドキドキしていると…
「ち、千晶ちゃんなら今日お休みですよ」
菜々子先輩が見た目にぴったりな可愛らしい声で言った
「…え?休みってどういうことですか?」
休みと言う言葉に体が反応して教室へとズンズン入っていく。
翔太先輩と慎先輩はいないようだった
「熱出したらしい。…ってか彼氏なら把握しとけ」
美沙先輩の厳しいお言葉に頭を掻く
…世の中の彼氏は彼女の情報を把握しとくもんなのか?
そういえば俺まだ丹田千晶の連絡先しらねえし…
自分の情けなさにため息をつく。
「すいません…ところで、翔太先輩と慎先輩は?」
あまり話さない菜々子先輩と厳しい美沙先輩の中にいるのは居心地が悪く、思わずそう聞いてしまった。
「さあ?翔太と慎と一緒に食べてるのは千晶がいるときだけだからな。それ以外の時の行動はしらん」
美沙先輩は卵焼きを口へと運びながら当たり前のようにそう言った。
…翔太先輩も慎先輩も丹田千晶といたいってことか。
そう思うともやもやと言うよりムカムカしてきて仕方がない
…なんだこの感じは!初めてだぞ!!