言いようもない焦りと恐怖に襲われて、
息苦しくなった。



ポタ、ポタッ…



大粒の雨が頬をうった…

その瞬間、
アタシはとっさに走り出した。


どこに逃げるわけでもなく…

頭で考えるより先に身体が動いて、
ただ走って逃げる。



だけど逃げ切れるわけもなく、すぐに腕を掴まれた。



「…ハルッ!!助けてッ!!」ザァァー!


アタシの叫び声を、ドシャ降りにかわった雨が掻き消す。



突然の大雨にそいつらも慌てた。


「クソ!ありえねー!!」

「あ"ー!!最悪!!早く開けろよ!」



アタシは必死に抵抗してもがいた。
腕を掴む手が、雨で滑って離れた。


すかさず逃げるアタシを弄ぶように、
他の男が身体を捕らえる。

「やめろ…離せ!!」


「うぜぇ、暴れんな!」

男はアタシを担ぎ上げた。



そして、建設作業用のプレハブに向かっていく。