「せっかくの時間、
ムダに使って、悪いんだけどさ…

アタシの話、聞いてくれるかな…?」



なんか緊張してきた。


「…

ムダじゃないよ…話して」

ナオは真剣な顔でアタシを見つめた。

そして…


「でも…」

と、アタシの左手に指を絡ませて…

「これは、離すなよ」

そう言って、ぎゅっと握った。




あ…



緊張がほどけてく…




アタシは自分にスイッチを入れようと、
タバコを取り出すと…

ナオがそれに火を着けてくれた。



深く吸い込んだ煙を吐き出して…


アタシはゆっくり、話始めた。




今まで、ずっと独りで抱えてきた…

初めて人に話す過去。










あの日も、雨が降ってた…

今日みたいに…



灰色の雨。





雨…