「この仕事する時さ…
親の顔、浮かばなかった?」


キツい事、聞いてくるナオ。

アタシの顔が冷ややかになる。


「あ、ゴメン!
責めてるワケじゃなくて…

オレ、母子家庭のひとりっ子だからさ、
ヤンチャしてた頃とか、けっこー親の顔
浮かんだりしてたから…」



親の事を考えると、悲しくなる。


けど…

「別に…


死なないだけマシだろ?」



アタシの言葉にナオの顔がマジになる。



「…命 投げ出さないのは、当然だろ?」

真剣な目で訴えてきた。


「…

うん、正論だな」

アタシは苦笑いした。


「だけど、それは…

相手の悲しみが、わかんないから言えるんだよ」



ナオは目を大きくして、アタシを見た。