「親はなんて?
連絡入れてんのか?」


「だからそれも…
あれ以来、連絡とってない。

こっちの住所もケー番も、教えてねーし」



とたんに、ナオがアタシを抱きしめた。

ぎゅっと、ぎゅっと、強く…



「ナオ、痛い…」

「あ、ごめん…」


ナオは抱きしめる腕を緩めて、
優しくアタシの髪を撫でた。


「だけど咲陽…
親にはちゃんと連絡入れろよ。
すごく心配してるはずだ。

成人式だって、ちゃんと準備してたと思う」


「それはねーよ…

勝手に消えて、連絡もしてねんだから」


ナオは身体を離して、優しく見つめた。


「絶対してるよ…

咲陽の名前を見れば、
そして咲陽を見れば、わかる。

いい親なんだろーなって。


連絡、入れてやれよ」