翔子は表に滅多に出ない。
出るのは悠ばかり。
すぐに自己嫌悪に陥り、自分を責める。
時には酷く他罰的になって、「あいつらが来たからだ」と泣いた。
俺達が生まれた大元の理由。
一番古株の綺羅から聞いた。
翔子は小学校、中学校と、酷いいじめにあっていたらしい。
馬鹿にされ、差別され、裏切られた。
仲の良かった友達にゲームのソフトを貸していて、肩に手を置いて「返して」と言ったら

「返すから触るな」

そう言われたそうだ。
ちなみに、この時に綺羅は生まれた。
親も中々受け入れてくれなくて、「何でそんな事で学校に行けないの?」と、泣きながら叩かれたらしい。  
中学を卒業した翔子は完全な学校嫌いになってしまい、高校へは進学せずに演劇の専門学校へ進んだ。
人見知りの酷かった翔子は打ち解けられず、学校を自主中退。
それからコンビニでバイトを始めた。
そして、奴らが来た。
中学で散々翔子を馬鹿にしてきた人物。
翔子は自分の事がバレないか必死で、奴らがいなくなった後、嘔吐した。
それからまたトラウマが始まり、バイトに行くと何度も何度も嘔吐するようになった。
家ではなんともない。
バイトに行き、奴らが訪れた時間に近づくにつれ、嘔吐は酷くなった。
とても働ける状態ではなく、バイトを長期休暇。
それでも嘔吐は治らず、勇気を出して「精神病院に行きたい」と言ったらしい。
そこで一矢が生まれた。