最初にみたのは、テーブル越しに座った中年男女。基本の両親。
それはとても客観的で、映画でも観ている感覚に似ている。
大泣きした男のコ。
くしゃくしゃな茶髪に、幼稚園服。
近くに、もう一人いた。
よく似た癖っ毛で、くしゃくしゃの黒髪。目付き最悪。
だぼっとした白いパーカーに、穴明きジーンズを履いていた。
何故か直感的にわかった。

こいつは俺と一緒に生まれた。

唐突の部屋。
唐突の人物。
何もかもが急過ぎて、他の事は中々理解出来なかった。
わかったのはもう一つ。自分の名前。

『橘喬恭』

見渡せば、真白なホールの中で、他にもたくさんの人がいた。
ちびっこい女のコから、俺より年上の人まで様々。
此処が何処なのか、自分が誰だかわからない。

「新しい人だー。
 名前は?」

一番小さい女のコがてもても歩いてきた。

「…喬恭」

告げると彼女はにぱっと笑った。

「ミサはミサってゆうの。 よろしくね」