正直、もうひとつ、理由があった。 立っていれば、あの彼女の姿がよく見えた。 その彼女は、いつも同じバスに乗っている女の子で、名前は斎藤さん。 クラスメートで、あいさつを何度か交わしたくらいしか接点がない。 もう1年以上も前から同じバスに乗っている。 しかも彼女は結構な確率で後ろから2番目の席に座っている。 理由は自分でもよくわからないけど、最近何となく彼女の存在が気になって仕方がない。