吉永君は朝だというのに今日も変わらず爽やかだ。
あれ、でもいつもとどこかが違う。
雰囲気が変わった気がする……あ、髪切ったんだ。
伸びてきていた後ろ髪がさっぱりしている。
気付いたの、私が一番かな。
それって何だか悪い気しないね。
クラスメ-トなんだから近付いて「おはよう」くらい声かけられたらいいんだけど。
あまり話したこともなければ、仲がいいわけでもない。
それに何より……緊張する。
吉永君が目の前にいることを想像するだけで鼓動が跳ね上がる。
もし声が裏返っちゃったら。
そんなことを考えると、あと一歩、踏み出せない。