そう言うと、声を抑えて事情を説明した。
「——……なんと。」
男は驚く。
「これは、なんていうか……」
「お前は男色家ではないが、女が苦手なようだな。そういう面でもあるかも知れぬ。」
「そうですか。」
そう言うと、シャルドネをまじまじと見る。
「……それにしても、綺麗だ。」
「使用人は腕が立つからな。」
無表情でこたえる。
「申し遅れました。俺はアーデルといいます。」
男は微笑む。
すると、ノックの音がした。
「時間だ。」
「はい。」
式場に向かうと、異様な感じがした。
(おかしい。)
全員、祝うような雰囲気ではない。
扉が閉まり、鍵が掛かる音がした。
「!」
全員が立ち上がり、武器を構える。
「伏せろ!」
アーデルを地面に伏せさせ、ベールを脱ぎ捨てる。
銃弾が飛び交い、数人が切りかかる。
シャルドネは護身術で攻撃を避け続け、武器を奪った。
重いドレスを纏いながらも飛躍し、切りつける。
「花婿諸共、私も始末する気らしいな。これが、目的か。」
「いかにも。」
奥から出てきた男が言う。
それと同時に、扉が蹴破られた。
「!!」
驚いて、其方を見るとリコリスとクレアフィールが居る。
「全て、調べは付いている。言い逃れは出来ない。」
「今回の件は言い逃れ出来ませんから!お覚悟です!!」
クレアフィールとリコリスは武器を構えた。
「駒ならいくらでもある。女二人で出来るなら、やってみるといい。」
「男も居る事を忘れるな。」
シャルドネは剣を構える。
「逃げろ。お前は戦えないだろう?」
そうアーデルに言うとアーデルは申し訳ない顔をした後、去った。
銃弾が飛び交う中、シャルドネは突っ切った。
ドレスに弾が掠るも、意に介さない。
クレアフィールとリコリスも戦う。
やがて、敵は減っていった。
リコリスが二人と対峙していると、背中を銃で狙う者が居ることにシャルドネは気付いた。
「!」
飛び出し、リコリスを押し退ける。
銃弾はシャルドネの右肩に当たった。
しかし、当人は表情を崩さない。
そのまま剣で相手を殺す。
敵は全滅し、残るは男のみになった。
「スクエード!貴様を裁く。」
クレアフィールはそう言うと男に止めを刺した。
「後は私が始末する。貴様達は怪我の手当てを優先しろ。」
そう言って、クレアフィールはスクエードを見下ろす。
「過去も現在も……罪を償ってもらう。」