「ねぇ、ママ!
 神奈川県と埼玉県って隣だよね?
 健ちゃんと別れなくて良いよね?」

「あら、りあは地図弱いんだっけ?
 東京都挟んでるじゃない。
 隣じゃないわよ?」

「えッ!そうなの!
 知らなかった…。」

「というより、りあ。
 彼氏さん、健ちゃんって言うの?」

「何で知ってるの?」


…わたし、言った?
言ってないよね?

いや~ママはすごいなぁ~!

何でもお見通し何だねッ!


心の中で感動していると、その心の中を見透かしたようにママはこう言った。


「あれ?りあ気づいてなかったの?
 自分で言ってたじゃない!
 ママは超能力者じゃないんだから分かる訳な いでしょ?
 りあ?」

「え…………。わたし、言ってないよッ!
 …うん。言ってないはず!」

「言ってたわよ。
 さ!ご飯食べましょ!」

「はーい…。」

言ってないはずだけどな…。
変なの。

まぁいっかぁ!

「「いっただっきまーす♪」」


この時のわたしは、転校の事をすっかり忘れていた。
悲しい現実がすぐそこで待ち受けていたのに。