「分かっているのなら…」
「………」
「分かりました。チカさんの事はちゃんと見守っています」
「あぁ、頼むな。…ま、すぐ帰ってくっからよ」
俺に何を言おうが、聞きゃしねぇと分かったのだろう。
セリュはそっとため息をはき出すと、強い眼差しで俺を見据えてきた。
これから何が起こるのか正直わかんねぇ。
でも、行かなきゃ行けねぇと感じたのは、屋上の奴等が俺を呼んでいるからだ。
マジであいつら、何を考えるんだ?
はッと息をはき出し、もう一度セリュを見る。
チカを頼む---
言葉にしてねぇのに大きく頷いたセリュに、思わず…と言うように口角を上げた。
そして屋上に視線を向け、羽を動かし始めた。
上へ上がるにつれて風が強くなってきたのか、自分の身につけているマントが大きく風に靡く。