「大西さん。気になる人でも出来た?」




ドッキン---



はッ?!


気になる人?





そんな人…、


いない………よ?





目を大きく見開く私の頬にそっと触れた先輩は、真実を見極めようとするかのようにジッと私を見つめる。





「ち…、ちが………」


「好きな人の事をずっと見てきたんだ。…だから大西さんが今、僕に向いていないのはすぐに分かったよ」



少しだけ開いた唇は、微かに震えるだけで言葉を発する事が出来ない。




…違うって言えなかった自分に驚いた。


だって先輩以外、好きな人なんていないのに…。



そう思うのに私の頭の中は、なぜかレイの事が浮かんで---




それが答えなんだと、無意識に感じ取ってしまった。