智史が呼んでくれたタクシーに乗って、大柴は行きつけだと言うラーメン屋へ連れて行ってくれた。


「ここは醤油ラーメンが旨いよ」


そう言って、のれんをくぐる。カウンターの席に着いてメニューを見て、大柴のオススメの醤油ラーメンを頼む。大柴も醤油ラーメンと餃子、チャーハンを頼む。


「初めて会った時は暑い日だったけれども、今日は少し寒いね」


大柴は世間話をしてなかなか本題に入らない。


「大柴さん、この間の話を…」


「ああ、そうだったね…。この間、智史と何を話してたのかな？智史はムキになってたみたいだけど」


「あの時は、大柴さんが智史よりも仕事が出来るって妬いてただけですよ」


私は、用意していた答えをスラリと言い、智史の私への気持ちは内緒にしておくことにした。


「へえ、それだけなの？そもそも斉藤さんが何で智史の家住んでいるのかも疑問なんだけどね。智史と何かあったの？」


「それだけですよ。それに智史の家に居るのは、私が自分の家を出てきたからで、深い意味はありません」