その後、智史は仕事があるから、先に帰っていていいよと言い、タクシーを呼んでくれた。


「仕事があるのなら、見送りはここまででいいよ」


と事務所の入り口でそう告げると、智史は、


「気をつけて帰るんだよ」


と言って抱きしめてくれた。私の耳元に顔を寄せて、


「週末は2人っきりでゆっくり過ごそう」


とささやく。


「うん。待ってる」


智史に自分の素直な気持ちが伝わるように、精一杯の笑顔で応える。


そうして智史と分かれ、エレベーターまで歩いて行った。


エレベーター前で、エレベーターを待っていると、


「斉藤さん?」


と声がかかる。振り向くと、


「やっぱりそうだ」


と笑顔の大柴が立っていた。


「あっ、もしかして智史と会ってたの?」


「そうです。大柴さんは今お仕事終わったんですか?」


「そうだよ。智史はまだ仕事してたみたいだけど。…飯まだなら、一緒にどう?この間の話も聞きたいし」


少し迷った後、OKした。