「俺が嫌だったら、拒んでいいよ」


そう言って、智史は甘く瞳を見つめて、ソファーに倒れ込んだ私の肩に軽く触れ体重をかけてくる。


「愛美そんな上目遣いするなんて、反則。かわいすぎ」


「なっ、ここ仕事場じゃないの。こんな…」


「愛美がかわいすぎだから、いけないんだ」


私の声にかぶせるように言って、智史が顔を傾けて唇を重ねてくる。


最初は、ゆっくり唇を味わうように啄み、私が息をしようと唇を開いたところに、舌を割り込ませてくる。


その口づけは優しく、智史が私を大事に想ってくれているのが伝わってくるものだった。


優花とのことが誤解だったって分かった今、智史を拒む理由もなく、私は智史の優しい口づけを受け入れた。


智史は角度を変えてキスを深めていく。私は智史の首に手を絡めてキスに応じる。


「ふふっ、そういえば愛美にいい知らせがあるんだ」


智史はおでこをくっつけて私の目をのぞき込み含み笑いをする。


そして、私の頬にひとつキスを落とすと、


「少し待ってて」


と言い、デスクに向かう。鍵の付いた引き出しから、紙を取り出す。


何だろう?と思いながら智史を見つめていると、


「愛美の本当の母親、相田直実さんの足取りがつかめたんだ」


「本当に?今どこにいるの?」