ひとり納得していると、智史が、さあ入って、と言って私を執務室にまねく。智史は執務室に入るとき振り返って、


「優花、お茶は出さなくていいよ。仕事お疲れ様」


と言う。


「了解しました」


優花は、笑顔で返す。


そんな所をみていると、同い年の従姉妹といっても、兄妹のように仲が良いんだなと思う。


私が執務室に入って行くと、智史は扉を閉めて振り向きソファーに座るよう進める。


「さて、愛美のご機嫌は治ったかな?」


智史は、ゆっくり微笑む。


「機嫌も何も、私の勘違いだっただけだわ。疑って悪かったわ。ごめんなさい」


「じゃあ、やきもちだって認めるの?」


「やきもちなんて言ってないじゃない。ただの勘違いだったって」


「これがやきもちじゃなかったら、何だって言うの?俺が嫌だったらこうして訪ねてまで優花の事を問いただすなんてしないじゃない。もう、いいかげん素直になったら?」


「だから、やきもちじゃないって言ってるじゃない。何度も言わせないで」


「じゃ、身体に聞いてみるかな」


いつの間にか近づいて来ていた智史が私の肩をトンと押す。


ソファーに斜めに座っていた私はソファーに倒れ込むような形になる。