最近、東本咲希というお気に入りの作家がいる。

さっき借り損ねた本もその作家の新作だ。

ミステリーのジャンルの棚の前に行き
踏み台に上って本を物色する。


…これ読んでないな


―……

1冊の本を手に取り30ページほど読んだ時

「渡辺栞さん」
「はいっ!?」

突然呼ばれたので変な声がでた。

見ればさっきの図書委員が立っていた。

踏み台の上にいるのでさっきよりも顔がハッキリと見えた。

切れ長の目にメガネ、薄い唇、少し跳ねた髪。

『イケメン』の基準を知らないので断言できないが
整った顔立ちであることは間違いない。


そして胸には3年生のバッヂ。