食事が終わると先輩は真面目な顔になった
「栞」
「はい」
「お前が聞きたいことは分かる。
俺もきちんと説明する」
「はい」
「…その前にやることがある」
「…はい?」
先輩はバッグから一冊の本をだした
「受け取ってくれ」
本はいつか見たブックカバーがかけられている。
でも色が違う。
先輩のは紺色だけど
これは赤い色。
「まだ開かないで。家に帰ったら読んで
…俺の気持ちだから」
先輩の気持ち?
「読んだら感想聞かせて」
「…はい」
「さて、まだ時間がある。デートするか?」
「はい!!」
まだ知らないこと
たくさんあるけど
私の中のモヤモヤはすっかり消えた
逃げたって避けたって
私の気持ちは変わらないんだ
そんな簡単なことに気づかなかった
アヤちゃん、私休憩終わったかな?