家の中は特に普通の家と変わらなかった。ただ1階と2階があるだけ。

「ほら?」

急にサヤはアオイに向かって両手を出した。おいでと言う様な顔で。

「は?」

い、いきなりこの人、何を。
ちょ、ちょっとヤバい人なんじゃない?ヤバいとこにきちゃったよ。

「早く。」

「いや、な、なんでっ!」

「え?だって俺、男だし。当たり前じゃない?」

完全にヤバいよ。
そんな可愛い顔で言われても怖い!

「なんでそんな顔するの?w」

サヤは不思議そうに言う。

「いやいやいや!明らかにダメでしょ!?」

苦笑いで後ずさりする。

「…あ、ごめん。もしかして大事な荷物だった?」

「………荷物?」

「うん^ ^重たいでしょ?持つよ。」

長い沈黙が続く。

「俺に持って欲しくないならいいけどさ。重たいでしょ?」

「…ん、いやぁ。あはは(汗)じ、じゃぁ…すいません…。」

バカだ。…普通に考えて会ってすぐにハグとかありえないでしょ!?あー、今日の私ダメだ…。

「重たいですけど。」

「こんなもの平気平気!」

サヤは小柄な体をしながらも、ひょいと軽く持ち上げる。その時にアゴまである細くて綺麗な黒髪が揺れ、女の私でも見とれてしまう。
あ、小柄って言っても私よりは余裕で大きいけどねw

「ずっとこの荷物背負って歩いて来たの?」

「はい、まぁ。」

「女の子なのにすごいね!」

「いや、そんなことは…。」

「すごいよ。じゃ、今からアオイちゃんの部屋紹介するね。」