そこで俺は二つの選択肢に迫られた。



一つ、これは夢だと信じて、或は気づいてないふりをして避けるか。


二つ、ここは男らしく、女の子の下敷きになるか。




誰かを呼ぶ暇なんてなければ、ここには彼女を受け止めてくれる優しくてふわふわしたものもない。


あるのは固くて無機質なコンクリートと、蓋のついた青いゴミ箱だけだ。





というかこれは自殺なのか?!


自殺だった場合どうなるんだ?!


ほっとくべきなのか?!


いやでもほっとくって、それって人としてどうなんだ?!


ていうか受け止めたとして俺無傷ではすまねぇよな?!






この0.000009秒ほどで廻ったさまざまの思考。


しかし、その思考すべてを払いのけ出てきたのは、俺の姉の顔だった。



悲しきかな、理不尽で横暴な姉をもった弟である俺は、女の子には優しくというモットーというかなんというか。


それが根っから張り付いているのだ。






そして俺は覚悟を決めた。