『もしもし、春流ー?』
「春流、春流です」

買ってもらったばかりで、まだ慣れていない、"スマホ"。


つい先日、合格発表があって、私は第一志望校に合格することができた。

そして、携帯は、合格祝いに買ってもらったものだ。







『…ぷっ‼︎ 慣れてなさすぎでしょ!』








画面の向こうで、大笑いする友達の声が耳に響く。



そこまで笑う?
だって、しょーがないじゃん。





「そこまで笑わなくても…」
『ごめんごめん。でさー、明日って暇だったりするー?』






……明日?




まぁ、春休みだし、特に予定はないかな。










「うん、暇だと思う。何で?」





と、返事をすると、よっしゃ! という声がした。












ん?






『よし、明日、Wデートね、決定〜♫』


















……ぇ、え、え、、











「…な、ま、待って千秋ちゃ」


そこでプツッと切られた。











だ、Wデート⁉︎




私、彼氏とかいないし、本当ダメ!










千秋ちゃんは、明るくてリーダーシップがある。


でも、悪く言ったら、……自己中…いやいや、何でもない。笑













……でも、どうしよう……。






私は道のど真ん中に座り込んだ。























私はもう一度千秋ちゃんに掛けたが、繋がらなかった。











すると、




ープルルルルル












と、着信が鳴った。



















千秋ちゃんだ!




私は急いでとった。


















「もっ、もしもし、千秋ちゃんっ!」






すると、千秋ちゃんはまた笑った。

















『ちょ、春流……。お腹痛くなるから笑わせないでよ…っ』






なにが面白いのか全然わからない。














でもとりあえず、千秋ちゃんに言わないと!







「千秋ちゃん、明日のことなんだけ」




『もー、春流、心配いらないって! 春流の相手、ちゃんと手配してるからー』














へっ…? いや、そうじゃなくって…




















「いや、千秋ちゃん、そうじゃな」



また、プツッと切られました。笑




















もー、何でこうなるのー?

















私はとりあえず歩きだした。



そして、カフェに立ち寄った。













「いらっしゃいませ」







私は窓の近くの席に座って、携帯を触った。

















あ、やばい。
通知がすごい。笑













千秋ちゃんと電話してる間に、SNSの通知が500になってて、びっくりした。
















私はひとつひとつ返事していく。


やっぱ遅いのかな。















千秋ちゃんもそうだけど、皆から、「打つの遅い」って言われるんだよね。




















逆に皆が早すぎるだけだと思うんだけどなあ。


























「お待たせしました。りんごケーキでごさいます」









返信してる間に、頼んでいたりんごケーキが来た。








これ、大好きなんだよね。
















私は出掛ける時は必ずここのカフェに寄って、必ずこのりんごケーキを食べる。


















そのくらい大好き。












「んーっ、美味しいー♡」







甘くてりんごの酸味が少しある。



















千秋ちゃんにも一度勧めたけど、千秋ちゃんは美味しくなさそうな顔をして「まずっ」って言った。










……美味しいのに。

























私は携帯で時間を確認した。






もう17時か。

そろそろ帰らなきゃな。

















門限とかは特にはないけど、母子家庭で、弟と妹がいるから、早めに帰らなきゃ。









私はレジを済ませて、少し足早で保育園に向かう。






























「優衣、侑斗、帰るよ」











妹たちを呼んで、少し保育園の先生とお話をした。









「柴田さん、いつも大変ね。今年高校生でしょ?」

















「はい。でも、優衣たちのこと考えたら、大変じゃないですよ」












お母さんに少しでも楽をしてもらいたいから。




















「せんせー、さよーならー!」

「せんせー、またねー!」
















優衣と侑斗を連れて、家に戻る。








いつも仕事で夜遅くまで家を空けるお母さん。



















だから、優衣たちのお弁当は毎朝作っている。






最近は"キャラ弁"を作れるようになって、優衣たちに喜ばれる。




















「ほら、お弁当出して」








家に着いて、私はキッチンに立った。























「はぁーい」










私は二人のお弁当を見て、





















「んー、ピーマン嫌いなのかなあ」



















ピーマン残してる。

優衣も、侑斗も。笑
















ピーマン、体に良いのに。笑













私は、洗いながらそう考えていた。
















テレビは余計な時には付けない。




携帯もあまり触らない。






お弁当はなるべく安く抑える。


















これも全部、お母さんのために。








生活費を払うのは、お母さんだから、余計なことをしないと決めている。




















……んー、高校生になったらバイトしようかな。
















そんなことを考えていたら、お弁当を洗い終わった。











そして次にやること。


明日のお弁当と夜のご飯の買い出し。
















私はお財布を持って、優衣たちに言って、家の鍵を閉めた。











んー、明日は何作ろうかな。






















近くのスーパーは少し高いから、もう少し遠いスーパーに行こう。
















私は少し足早で向かった。