「そりゃあ、学校来れないよ…、今家の中バタバタしてるらしいもん。」







「そんなに大変なんだ…。」








肩をすくめる彩に、若干呆然としながらも理緒軍団を見ると、3人で集まって泣きそうな顔で話している。









理緒軍団も結構ショックだし、理緒のこと気にかけているんだろうな。








「……理緒…。」








そんなことを考えていると、夏芽がポロッとこぼれたように名前を呼ぶから顔を上げると、今まさに話題になっていた理緒本人が立っていた。








その途端、クラス全員の視線が理緒へ注がれる。









「…なに。朝の新聞でも見た?…どうせいい気味とでも思ってんでしょ。」









いつもより遥かに低い声で睨むように言いながら自分の机に乱暴な音を立てて鞄を落とす。










……数日ぶりに理緒の姿を見た。








前よりも微かに痩せて疲れているようにも見える。









同じことを思ったのかクラス中に不穏な空気が広がった。









「…理緒っ、大丈夫?ちゃんと、寝てる?」







「は?穏やかに寝てるわけないでしょ。ていうか、なに?媚び売ってんの?」






「…え?」





「残念だけど、新聞で見た通りだから。媚び売っても仕方ないよ?どうせあんた達だって私がお金持ちでクラス内でも権力あるから仲良くしてたんでしょう?もう全部無くなったよ?」









理緒軍団が心配そうに理緒の顔を覗き込むけど、鋭く吐き捨てるように言った理緒の言葉に言葉を失ったみたいだった。









…確かに大変かもしれないけど、そんな言い方ない、でしょ。